お笑いってすげ~(オードリーのオールナイトニッポン2012.8.18)
2015/03/06
若林:24時間テレビ、今度あるじゃないですか
春日:はいはい
若林:中京テレビの方だけで、あそこの地域だけだよね?たぶん俺らのロケ
春日:そうだね
若林:東海地区っていうか中京テレビだけで放送されるロケにこないだ行って来たんですけども
春日:うん
若林:我々が一緒に取材させてもらったのが、生まれつき目の不自由な男の子
春日:うん
若林:全く見えない高校一年生の子で、落語家になりたいということなのかな?
春日:まあそうだね
若林:お話も何度か高座でやったことある子が高座をやるのに付いていくっていう企画で
春日:うん
若林:俺その話聞いた時に、CDで落語聞くから、目の不自由な方がやるには落語っていいんじゃないかって思ってたの
春日:ほうほう
若林:伝わりやすいものなんじゃないかな~って思って、その子の住んでるマンションに行って、オードリー二人で入っていって
春日:うん
若林:男の子が来て「どうも初めまして」みたいな、「春日に会えてよかったね」みたいなことを春日さんいつもの感じで言うんですよ、笑
春日:あの~そうね、マストのやつね
若林:そう、「視聴者の方も春日が見れて良かったですね」みたいな、「見てる方は首振ってるでしょうけど」みたいな、言ったんだよね俺がね
春日:それに対してツッコんだんですよ
若林:何言ったかちょっと忘れちゃったんですけど、また例の揚げ足取る様なね
春日:うん、まあツッコんだんですよ
若林:その男の子がね、首をかたむけて「今のツッコミ良いですね」って言って、笑
春日:第一声で褒められたんだよね、笑
若林:そうそう、すっごい言葉のやり取りに敏感なんだよね、俺そこで、タダ者じゃないなって思ってハっとしたんだよね
春日:うん
若林:その子とお母さんとお父さんとお姉ちゃんかな、で、しゃべろうってことになって、教えてる師匠がいるのよ、ちゃんとした落語家さんで、50代くらい
春日:そう
若林:「なんで落語始めようと思ったの?」って「初めて師匠が盲学校に来たときに聞いてすごく楽しそうで、小噺を教えてもらって初めてウケたからうれしくて始めたんです」「いきなり小噺初めてやってウケたのすごいね、俺らなんてウケるまで8年くらいかかったもんな~」って言ったら、その高校1年生の男の子が「あ~いいですいいですそういうの」
春日:笑
若林:気づいた?
春日:あ~なんか言ってた、ハッキリ言って気づいてないね私は
若林:笑、あそう
春日:うん
若林:自分らを下げるっていうか謙遜する、それに比べてカイ君、カイ君っていうんだけど、「カイ君すごいね」「いいですいいです、もうやめてください」って言うのよ高校1年生が
春日:うん
若林:で、「高座上がる時緊張しない?」って言ったら「あんまりしないです」って言って「春日なんか緊張しいで、足首グルグル回す」俺らがいつもする話あるじゃない、あれ、笑
春日:我々の古典がね、笑
若林:「袖で足首グルグル回すから、セットがグラグラすることあったけど、それに比べてカイ君すごいね」って言ったら「いいですいいです、そんなのやめてください」って
春日:言ってたね
若林:謙遜してるとか下げてるとか僕を上げてくれてるとか、すっごい感覚で返してくることに俺ビックリしてたのよ、それあった?
春日:それは無いですよ、私は
若林:笑
春日:だから話を聞いて、なるほど~と思ってますよ、リスナーと同じだから、笑
若林:あそう
春日:でも確かに言ってた
若林:「オードリー知ってる?」って言ったらカイ君が「知ってます、僕トゥース好きです」って言った時に、大丈夫かな?と思ったんだけど
春日:大丈夫だよ、私あそこで安心したよ
若林:で、明るいんだよね
春日:そうだね
若林:明るくて面白いんだよね、返しとかが
春日:言うことがね
若林:家族の方もあったかくて、自分であんまり言うもんじゃないけど落語って青銅さんにいろいろCDもらって好きだから何の話するのかな~って楽しみで、師匠と稽古するって言って
春日:うん
若林:俺は落語はすごく良いんじゃいかと思ってたら大問題があって、生まれつき全く見えないんですよ、生まれつき全く見えないから例えば落語の話の中に軍配が出てきたら軍配っていうものがわかんないのよ
春日:うん
若林:だから師匠が軍配を買ってきてカイ君に触らせて、でようやく軍配ってものが分かり、それを身振り手振りでやるようになるのよ
春日:うん
若林:軍配をね、師匠が買ってきて「師匠どこで買ってきたんすか」「軍配屋」っつってね「軍配屋なんてあるんすか」「わかんね~」ってのがあって、笑
春日:笑
若林:「百円ショップでしょ?」みたいなのがあって、軍配をカイ君が触って「あ~卓球のラケット、テニスとかのラケットみたいな感じですね」みたいなことを言うんだよね
春日:うん
若林:そういう話があって、望遠鏡とかも師匠が家から持ってきて触らせて「こっから覗くんやで~」みたいなことで教えて
春日:うん
若林:覗き穴から覗くっていうので「板わかるか?板や」って師匠が言って「板なんちゅ~たらいいかな~」手のひら出して「これ押してみ?」カイ君が押すのよ「ここも押してみ」って言って押して、「このくらいの範囲の広さで木が並んでる感じや」って言って
春日:うん
若林:「穴がある」って言って、板をね押し返した時に師匠の手を、「あ~、だから壁、板、あ~うんうん」って言うんだよね
春日:うん
若林:穴を師匠が指でやって「穴に指入れてみ」「板に穴が開いてる、はいはい」「で、覗くんやこうやって、覗いて中が見えんねん」って言って、「あ~」って
春日:うん
若林:その時にビックリしたのが「なんか映画のワンシーンみたいですね」って言うのよ
春日:言ってたね
若林:映画っていうのが、なんとなくあって、それがすごい!映画っていうものが分かるんだ~っていうことなんですねってロケバスの中で師匠に言ったら「そうやねん」って
春日:うん
若林:「向こうの気持ちになって考えるんやけど、そっちは分かるんや」って、そこをやっぱ教えていくのが相手の気持ちにならないといけなくて師匠がすごいなと思って
春日:そうだよね
若林:ただでさえ抑揚とかさ、ここを強く言うとか稽古が難しいじゃん、その上「ここがこうで押してみて」って
春日:うん
若林:顔を向けてしゃべるっていう感覚があんまり無いみたいで顔の振りがあるじゃない上手下手(かみてしもて)に
春日:うん
若林:逆に顔を入れて話したりするんだって、耳を頼りに人と話すから
春日:ほうほう
若林:逆に入ったりするのよしゃべってる時に、だからもくぎょうを両方に置いたりして、それを叩きながら「こっちに顔向き」って教えるの師匠が
春日:へ~
若林:ほんと根気強いし、ただでさえ教えるのイライラする「そこ違う!」って言っちゃう中で教えるってのがあって
春日:うん
若林:俺、今やってることはすごいことだな!と思いながらいくんだけど、落語好きって出したらイタいから、絶対出さないようにしようと思って決めてたから、そこは出さないようにしてたんだけど
春日:うん
若林:稽古終わって師匠とロケバスで話してたら、客の笑いだけが頼りだから、俺ら漫才やってる時にお客さんの顔を見てて目が爛々としてるから、フリだけど聞いてくれてるとかっていうことはあるけど
春日:うん
若林:あと下向いてたり、ショーパブだとタバコに火をつけちゃう人とか「ヤバイな」って思うんだけど
春日:うん
若林:それが無いから、声だけが頼りだから、笑いと笑いの間隔が狭くないとカイ君は不安になってきちゃうんだって
春日:うん
若林:だから話として結構笑い声があるっていうものに話を選んでるって
春日:うん
若林:俺は現場の稽古の最中に言えなかったんだけど、カイ君がちょっとね、適当なチャランポランなバカそうな男の人の声が合うな~って思ったけど、そんなこと言えないじゃない、笑
春日:まあそうだね
若林:ぶってんな~ってのがあるからね、言わなかったら師匠が「カイ君はね、明るいからね「なんでお前何度言ってもわかんないんだ」っていう人の役が合うんだよね~、ただそれをやらしてんのが、大丈夫なんかと思ったりするんやけど」っていう話し方をしてて
春日:うん
若林:それで本番は、公民館みたいなとこだよね
春日:そうだね
若林:お客さん入っててカイ君が緊張しながら高座上がってって、枕もね、見えないってこと利用した面白さなんだよね
春日:うん
若林:「相撲取りを見たことないんですけど僕が5人分いるんですよ、僕が5人分!?イヤですね~」みたいなね、つかみしてドンってウケるんだよね
春日:そうだね
若林:ドンってウケたら顔がパっと変わって、話が稽古より全然うまかったよね
春日:そうね、ノッてたね
若林:そうそう、それで俺袖から見てて、ウケた時に笑い待ちが異常にタイミングが良いと思ったんだけど、春日さんそれ思った?
春日:わかんない
若林:笑
春日:そうだったんだな~と思いながら聞いてますよ私
若林:笑
春日:良かったのか?異常に
若林:いや、笑い待ちって難しいじゃない
春日:難しい!
若林:笑いが起こってるのに稽古のテンポで入っちゃって、オールナイトニッポンのライブでもあったよね
春日:そう
若林:音源あるか分からないけど「頭ぶつかっちゃいましたけど」みたいな
春日:そうね
若林:春日さんほら、起こってるのに入っちゃってお客さん笑ってくれてるから耳に入らないっていう時あったりします?
春日:しょっちゅうだよ
若林:笑、高校1年生の男の子であんなに待つの、緊張すると入っちゃうのよね
春日:入っちゃう、で待とうと思うと
若林:遅い、ね
春日:うん
若林:俺、師匠が言ったことがオーバーラップしちゃってそれで
春日:うん
若林:笑い声が頼りだから、聞いてくれてるお客さんが楽しんでくれてるっていう手がかりが笑い声だから、笑うってことをすごく確認しているような感じがしたのよ
春日:うん
若林:それが笑い声で自分のやってることが伝わるって、俺ほんと今からイタいこと言うけど
春日:うん
若林:お笑いってすげ~な!と思ったの、その時
春日:イタいな!君は!!
若林:笑
春日:え~!?笑
若林:で、俺もう俺の頭の中には、落語はお相撲さんの話なんだけど相撲取りが相撲取ってる絵がドワ~って浮かんでて、お客さんにも浮かんでて
春日:うん
若林:それが、言い方悪いよ?目が見えない子の話から浮かんでて、笑いで伝わってるって繋がったことが、で師匠の話がビターっと合っちゃって
春日:うん
若林:もうほんとに普通に涙が出てきちゃって
春日:笑、うん
若林:お笑いってすげ~!って思っちゃって、笑
春日:大笑
若林:笑いを待つから、手がかりがある
春日:うん
若林:で、それ思わなかった?春日さん
春日:ん??
若林:いや、笑いってすごい、見えてない子の話で絵が浮かんでる、軍配があって触らせてそこから話で、絵が浮かんでて子供が「相撲取りがまた負けた~」とか言ってんだよ
春日:うん
若林:すごいと思わない?
春日:うん、今思ってますよ
若林:大笑
春日:若林さんの話を聞いて、今思ってます
若林:でも春日さんはさ、カイ君の話を聞いてて絵浮かんでたでしょ?
春日:浮かんでたね
若林:すごいことだと思わない?
春日:すごいことだね!だからカイ君自体もさ、ね?相撲を認識してるってこともすごいことだしね
若林:師匠が一生懸命伝えたし、カイ君が分かったこともあって、カイ君の頭の中の絵なんだよね!間違いなく、見えてるんだよカイ君のさ
春日:うん
若林:それ俺ビックリして
春日:うん
若林:でも泣いてるのを春日にバレるのだけが恥ずかしい、で一生懸命耐えて、ごまかし
春日:うん
若林:カイ君に裏で話を聞く、ここはガマンしなきゃと思って
春日:うん
若林:「カイ君どうだった?良かった、師匠よりウケてたんじゃない?」なんて話があって、カイ君がさ「ウケてうれしかったです」って言って
春日:うん
若林:俺もなんかいろんな言葉で、カイ君が思いのほか落ち着いてたことに感動してもう涙、俺泣いちゃったね初めて
春日:笑、うん
若林:春日にバレてた?俺泣いてるの
春日:それは知らなかった
若林:それは俺良かったわ、うん、カメラには写らないようにはしてたから、オンエアーで写ってないといいんだけど
春日:いやちょっと確認したいね、もう一度ね
若林:イジられるかな?
春日:う~ん
若林:もうガマンできる範囲じゃなかったのよ、なぜならお笑いってすげ~って思ってるから、笑
春日:笑
若林:このへんがお笑いナルシストって言われちゃうあれなんだろう
春日:笑
若林:最後「カイ君どうだった?」って聞いたら「次は春日さんと漫才やりたい」ってよ、俺全然入ってこなかった
春日:笑
若林:ほんと、いい人になりて~な~と思ったもん
春日:笑